最近、新聞紙上等で税制改革の話題をよく見かけます。

配偶者控除の見直しは、昨今言われ続けてきた感がありますが、いよいよ現実になりそうです。

専業主婦をモデルにした配偶者控除を見直し、共働き世帯の税負担も軽くする夫婦控除なるものが新設が検討されているようです。

配偶者控除とは所得が38万円以下(給与所得だと103万円以下)の配偶者がいる時は、その個人の所得から38万円を控除するというものです。配偶者控除は所得控除です。所得控除とは、一定の金額をその所得金額から控除する制度です。

その個人の所得税額は所得金額から所得控除額(配偶者控除 社会保険料 生命保険料など)を控除した金額(課税所得)に対して税率をかけて算出します。そしてその税率は、累進課税です。

例えば
課税所得が500万円の人と200万円の人がいます。2人とも働いていない配偶者がいます。

課税所得500万円の人は、税率が20%ですから 380,000円×20%=76,000円 の減税額

課税所得200万円の人は、税率が10%ですから 380,000円×10%=38,000円 の減税額

つまり、同じように配偶者がいても、所得の低い人と高い人では、減税額が異なるということになり、所得の高い人の方がよりその恩恵を受けるということになります。

 

一方、新設される夫婦控除では、税額控除を採用したい考えのようです。

税額控除は、算出された所得税額(課税所得×税率)から一定の金額を控除する制度です。

例えば、夫婦控除額が30,000円だと仮定すると、どんな税率の人でも30,000円の減税額になります。つまり元々の納税額の少ない低所得者の方がその恩恵を受けることができます。

所得控除に比べて税額控除は、若年の低所得者層を中心に税負担を軽くして格差を是正する効果が期待されます。
欧州では、所得控除から税額控除への移行が広がっているそうです。

 

少子高齢化社会で、労働力が減り、それは即ち経済の停滞につながります。それをなんとか食い止めるために女性の社会進出を促したい。そして社会の格差をなくしたいということだと思います。しかし、配偶者控除に収入制限はありませんでしたが、夫婦控除には収入制限を設けようとの方針だそうです。この結果、税額控除の採用も含め、負担が増える世帯もでてきます。国民みんなが公平だと思える税制、租税教室で子供たちに問いかけることでもありますが、本当に難しい課題だと思います。国民みんなが納得できる税制は、国民みんなが納得できる使い道をして初めて確立できるのではないかしらと強く感じています。