少し前に、公立図書館が新刊本を貸し出すことの是非についての新聞記事を読みました。

出版社には、売れ筋の本をすぐに図書館が購入して貸し出すと、本の販売部数が伸び悩みかねないといった意見があるそうです。一方、図書館側は、本が好きな人は借りられるまで何か月も待つ状態だと待ちきれずに自分で買うのではと、図書館での貸し出しが販売部数の減少の原因なのかははっきりしないと困惑しているということです。

確か前に雑誌で林真理子さんのそのようなエッセイを読んだような気がするなとネットを見ていると、公立図書館は本の敵?というシンポジウムの記録をみつけました。

そこでは、公立図書館は国民の知る権利を守るもの、国民が平等にあらゆる知識にたどり着く機関が図書館だということが書かれていました。今まで図書館にお世話になることはありましたが、図書館の意義を考えたことはありませんでした。そういう位置づけだったのですね。

また、そのシンポジウムの中で印象的だったのは、その出席者の方のおひとりが、子供のころ自分で本を買って来たら、父親に「我々が本を買うことで作家は印税を得て、また新しい作品を生み出していく。昔は、文学や芸術が特権階級のものだったけれど、今は我々みんなが芸術家のパトロンになることができるんだ。いい時代だろう。」と言われたというエピソードです。

ネット時代になってタダで情報が手に入りやすい環境です。本も情報だから、お金を払うなんて・・・なんてことになると、作家を生業にする人がいなくなってしまうのでしょうか?小説を書いて私たちを楽しませてくれる人がいなくなったら?

図書館と販売部数の問題は、素人の私にはわかりません。図書館で本と出会ってその作家のファンになることも多々あることでしょう。でも、どんな世界でも裾野が狭ければ、その世界は衰退してしまいます。作家になろうという人がたくさん出てくるようなそんなしくみがあればいいなと思います。

私は、万人受けしなくてもいろいろな面白い本が出版できる時代が続いてほしいと思います。