法人と聞くと、やはり最初に株式会社が浮かびますが、会社法上は、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類があります。これらは皆当然ながら営利を目的とするものです。

法人の中には、営利を目的としないものもあります。それが、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人です。

ビジネスをしたいのか、それとも社会貢献をしたいのか、目的に応じた法人形態の選択が大切です。

今日は、その中のNPO法人について書きたいと思います。

 

NPO法人という言葉を、最近は耳にする機会が多くなってきました。NPO法人とは、阪神淡路大震災でのボランティア活動が契機となって設立可能となった法人形態で、その活動分野には、保険医療又は福祉の増進を図る活動など20種が指定されています。

設立するには、事前に所轄庁(都道府県または政令指定都市)の認証が必要になり、認証には6ケ月弱かかることが一般的です。株式会社等に比べると、設立までには手間と時間がかかります。

NPO法人は、営利を目的としない と書きましたが、これはもうけてはいけないということではありません。営利を目的としないとは、利益の分配をしてはいけないということです。株式会社は、もうけを出してそのもうけを配当という形で、株主に還元します。そのような配当をNPO法人は禁止しています。事業によって得たもうけを次の事業のために使うのであれば、まったく問題はありません。

また、NPO法人は、収益事業を行った時だけ、その収益事業について他の法人と同じように法人税等を納める義務があります。何が収益事業になるかということは、法人税法に規定されているのですが、その判断が中々難しいのです。NPO法人を立ち上げる際、新たに事業を始める際には、その事業が収益事業になるのかどうか、専門家に相談されることをお薦めします。

収益事業を行っていないNPO法人は、国に法人税を納める義務は生じません。また株式会社は、赤字であっても都道府県や市町村に税金を納める義務がありますが、NPO法人は申請をすることによって、その義務を免除されます。その他自治体によっては、自動車税や固定資産税などの減免制度があり、税制面では株式会社に比べて優遇措置が設けられています。

一方、NPO法人には、情報公開の義務があり、その活動状況はいつでも市民に監視されているのです。公益的な活動を市民が行えるようにという趣旨で作られたこのNPOの制度、その趣旨をしっかり理解して運営していくことが大切ですね。