先日、何を思ったのか夫が『平山郁夫シルクロード美術館』に行きたいと言い出しました。私達夫婦は、絵画には全く興味がないのですが、久しぶりのよいお天気の土曜日、ドライブがてら山梨まで行ってきました。

平山郁夫さんはシルクロードを幾度となく旅をされ、その風景やこよなく愛された”らくだ”のスケッチをされてこられました。平山郁夫さんがシルクロードを旅されたのは、日本文化の始まりである仏教伝来の道をたどることが目的だったそうで、日本文化の源流を求めて歩きだされたそうです。平山郁夫さんが、訪れた場所が地図上にマークされていたのですが、今では訪れることが難しいシリアなど中東の紛争地も多数歩いておられました。その行動力のすごさに地図を前に言葉を失いました。

この美術館で一番印象深かったのが、パルミラ遺跡の朝と夜の幻想的な情景を描いた2枚の絵画です。絵画の詳しいことは全くわからないど素人の私達夫婦ですが、心にせまるものがありました。夫はこの絵を見たかったのだそうです。

パルミラ遺跡は今、無残にも破壊されています。元遺跡管理者の考古学者も悲惨な運命を与えられました。しかし、たとえ破壊されたとしても、描いた絵画は、そこに文化が確かに存在していたことをこれからもしっかり未来の人たちに伝えていくんだと、なんだか荘厳な気持ちになりました。

人間が築いてきた文化は、人間が人間である証であるのだと思うのです。

そして、奥様が書いておられます。『私たちが日本の文化と誇れるもののほとんどは、多くの国々の恩恵を受けたものであることを忘れてはならないと思います』と。

柄にもなく、『文化』について思いをはせた初秋の午後でした。