義父が、定年後、先祖代々の少しばかりの畑で一人で農業をしていました。しかし、病気になったこともあり、農業が続けていくことは無理だということになりました。

都会育ちの私は、農業をやめるのは作物の世話をしなければいいだけのことで、そんなに難しいことだとは思っていませんでした。

しかし、畑はほっておくと雑草が生えます。虫がきます。隣の畑の人に迷惑をかけます。雑草が道路にはみ出して、車や人の通行の妨げになることもあります。

農業をやめることは、今まで世話をしてきた畑の後始末をしなければならないということだったのです。

義父はそのことが気になって、今までも頑張って畑の世話をしてきたんだと思います。

幸いにも、畑を借りてくれる人が見つかりました。

ここからが需要と供給のお話です。

田舎の畑では、タダでも借りてくれる人がいればいい方なのだとわかりました。僅かな固定資産税と農用水路の使用料位の賃貸料です。そして、驚いたのが、6年契約をすると賃借人に助成金(わずかです)がでるのだそうです。

確かに、畑をそのまま放置しておくと色々な問題が生じるので、世話をしてもらえるだけでもあり難い話なのですが、都会ではタダで他人に土地を貸すなんで考えられません。

しかし、いつまでも土地を借りてもらえることはないでしょう。先祖代々の土地を残された者がどのように管理維持していくのか大きな問題です。

同じような問題は都会にもあるようです。例えば、建物の再建築が難しい土地、これは需要がありません。ここに古い民家が建っているケースが今問題になっています。そして、人口が減少していく将来、都会でも需要がなくなった古い建物が取り残されていくでしょう。人口が減少するといっても都会では、その古い建物が周りに及ぼす悪影響も田舎とは比べものにならないかもしれません。

東京オリンピック問題では、造った建物が負の遺産になることが懸念されています。規模は違いますが、個人レベルでも同じことが言えるんだと実感しました。