”タワーマンション節税 ”という言葉を目にしたことがある方も多いかと思います。相続税節税のスキルとして雑誌等で盛んに取り上げられています。

相続税では、財産の評価をする際に、『財産評価基本通達』で定められた方法で評価します。財産評価基本通達とは財産を評価する上でのいわばバイブルのようなものです。その通達では、マンションの一部屋あたりの評価は、建物全体の評価額と敷地全体の評価額を専有面積の割合によって按分した価額となります。(建物:固定資産税評価額 敷地:路線価方式等で評価)

一般的に、マンションの場合高層階の方が市場価値は高くなっています。しかし、通達ではその階層要素は考慮されていません。つまり、高層階でも低層階でも専有面積が同じなら評価額は同じです。

その市場価値と評価額との差を利用して節税を行なおうとするのがタワーマンション節税と言われているものです。

例えば、タワー型マンションの1室を1億円で購入したとします。通達に従って計算した建物の評価額が1,600万円、敷地の評価額が2,000万円合計 3,600万円だとしたら、その差は5,400万円、およそ3倍もの開きが生じます。

国税庁が行ったタワーマンションの市場価額と通達による相続税評価額とのかい離率のサンプル調査では、平均で3.04倍 最大は6.93倍との結果が出ています。

 

しかし、最初に紹介した『財産評価基本通達』には例外的な評価方法の定めがあります。

財産評価基本通達6項:この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認めれらる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

つまり、通達に定めれらた方法により評価した価額(3,600万円)であっても、それが不適当だと国税庁が認めると、3,600万円ではなくなるかもしれないということです。

先ごろ、国税庁はこのタワーマンション節税について、適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行いたいのとの見解を発表しました。

何が不適当なのかは、購入時期や目的、使用状況などを総合的に判断するようです。

行き過ぎた節税目的のための購入は、税務署によって否認されるリスクがあるということですね。